行政書士の非独占業務に関して。
行政書士の非独占業務ですが、1条の3に規定される業務においては、行政書士、または行政書士法人ではない者も、業として行うことが可能です。
ただし、これに付随して、1条の2に規定される書類の作成を業として行った場合は、法律違反として処罰の対象になります。
第1条の3によると、行政書士は、前条に規定される業務以外に、顧客である他人の依頼を受け、報酬を貰い、次に掲げる事務を業とすることができます。
ただし、注意事項として他の法律でその業務を行うことが制限されている事項については、この限りではありません。その1、前条の規定によって行政書士が作成可能な官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること。行政手続法上の聴聞代理は、官庁による処分の原案段階に留まります。従って紛争性がないと考えられているわけです。
このため、聴聞代理は、合法的に行政書士の業務範囲に入ります。また、よく誤解されることですが、第一号の当該非独占業務は、官公署に提出する書類を作成することではありません。あくまで提出を代理することです。
よって、警察署に提出する告訴状・告発状、不起訴処分に対しての検察審査会への不服申立、建設業許可、風俗営業許可、車庫証明申請、自動車登録申請、農地転用許可、開発許可、会社、その他の登記を除く法人設立手続、経理帳簿の記帳、国籍帰化申請、交通事故における保険金請求といった「作成」業務は行政書士の独占業務にカテゴリーされますが、これらの提出手続きを代理するに留まるケースでは、非独占業務となるわけです。その2、前条の規定によって、行政書士が作成可能な契約、その他に関係する書類を代理人として作成すること。
本号は、委任契約の締結によって、代理人として民間対民間の契約そのものを代理し、かつ契約書類などの作成の代理を認める趣旨です。ここには、借金の繰り延べの書類、あるいは債務支払い期日の延長といった、契約に付随する行為も含まれています。
監督官庁である総務省の見解によると、行政書士は「代理人として契約書類等を作成する」のであり、書類の作成を代理するのではないのです。官公署に提出する書類には、その性質上代理になじまない、とされるものがあります。
こうした書類に関しては、代理人としての作成をすることは不可能ですが、従来とおり本人名義での代書により書類の作成を行い、前号によって提出の代理を行うことはできます。
ただし「蓋然性が客観的に認められるような契約」の締結代理までは行うことはできません。
その3、前条の規定によって、行政書士が作成可能な書類の作成について、相談に応じること。
相談業務とは、以上のような行政書士法1条の2で規定されている書類の作成に該当し、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するべきか、あるいは文書の内容にどのような事項を記述するべきか、といった質疑応答・指導・意見表明・法令、法制度、判例といった先例の説明と手続に関する説明などの行為を指します。
いわゆる「法律相談」の名称使用独占ですが、法律相談という名称は、弁護士が独占しているので、それ以外の、例えば行政書士や司法書士などは「法律相談」という名称を使用することはできません。
ただし、一般的に弁護士法72条の締結の対象となるには報酬を貰う目的があることが要件となりますので、無料で顧客に奉仕するようなケースでは、この制限を受けることはありません。
また、行政書士の法定外業務ですが、条文に記載されていない業務で、法解釈上の業務、及び私人の地位において受任する業務を言います。行政書士法の規定の適用はなく、民法やその他の規定が適用されることになります。
行政手続法上の聴聞代理ですが、代理人の要件に、弁護士・行政書士といった資格制限はありません。
但し、行政不服審査法による審査請求については、日行連の先例のため、弁護士法72条の成約を受ける可能性はあります。従って行政書士が独占業務として審査請求書類の作成を業として取り扱うケースでは、事件性のある法律事務に関して、依頼人の口授に基づいて作成するようにして、依頼の趣旨を逸脱することがないように特別に留意する必要があります。
最近では成年後見人として法定後見人、任意後見人となる行政書士も増加の傾向にあります。
精神上の障害によって、判断する能力が欠けている状況にある者が対象ですが、家庭裁判所の後見開始の審判によって、後見人を付すと審判を受けた人間を、成年被後見人、また本人に代わって、法律行為を行う人間として選任された人物を、成年後見人と呼びます。成年後見人は、成年被後見人に関して広範な代理権と取消権、財産管理権(859条)、療養看護義務(858条)を持つことになります。
ただし、日常生活に関係する行為については取り消しは不可能です。更に行政書士の制限に関してですが、「官公署」や「権利義務関係文書」は抽象的な概念ですので、官公署提出書類、及び権利義務関係文書は形式的には非常に広い範囲になります。
けれど行政書士法第1条の2第2項の行政書士業務制限規定がありますので、弁護士法、司法書士法など他の法律においてその業務を行うことが制限されている範囲の事項に関しては業務を行うことは不可能です。
結果として、行政書士が業として作成可能な官公署提出書類、及び権利義務関係文書の範囲は限られた一定の範囲に制限されることになります。