行政書士の役割の増大傾向や制度の充実化といった動きに伴って、行政書士の業務に関して必要とされる知識や能力の内容には変化が生じました。
そこで、平成17年9月30日、こうした変化に対応して自治省告示「行政書士試験の施行に関する定め」の改正が行われ、平成18年度からは試験科目だけではなく、試験時間なども変更がなされました。
行政書士試験研究センターでも、行政書士の業務の実態や過去の試験実施状況を参考にしながら、今後も国民生活に密着した、いわゆる「街の法律家」にふさわしい人物を選考するために、厳正で確実、それでいて公正に試験を実施することに努め、行政書士試験に対する日本国民の期待、信頼に応えることを方針として発表しています。
実際の行政書士の資格試験の難易度は、それまで都道府県資格であった時代には、弁護士といった他の法律資格と比べても難易度は低いもので、それゆえ長い間、法律系公的資格の中で「登竜門」として扱われてきた、というのが実情でした。
しかし、国家資格に格上げし、それまでの「高卒以上」といった学歴などの受験資格を撤廃したこと、また最初に触れたように人気漫画「カバチタレ!」の大ヒットによる行政書士という職業の知名度が普及し、ここ最近で資格として人気になました、
それもあり、受験者が急増する傾向にあること、また法科大学院生の受験、あるいは行政書士法改正によって職域が従来より大幅に拡大されたことなど、様々な状況の変化に伴い、ここ数年で試験内容は激しく難化しています。
新しい試験制度に移行した平成18年度には、難易度では依然として隔差が見られるものの、論理的思考も問われる司法試験の短答式試験(択一式)に似た形式で出題もなされました。平成19年度には、択一問題の司法試験化は更に増し、最高裁判例本文から引用された問題(判例要旨ではない)、対立する学説の理解度が問われる学説問題、また最新の最高裁判判例本文から引用された穴埋め問題(多肢選択)なども出題が行われています。
それまでの出題傾向は、幅広い法分野の基本を問うような問題が基本的に出題されていましたが、ここ最近では、幅広いだけではなく、より深く掘り下げた法律知識や法的思考力が要求される難しい問題に移行しています。よって、平成15年度以降の合格率は2.9%、平成16年度は5.3%、平成17年度2.6%、平成18年度4.8%と、極めて低い合格率の試験となってしまっています。
試験に合格するまでの期間に関しましては、法律の純粋未習者で3・4年、司法試験受験者で1年以内、といったデータがあります。
平成13年の10.96%、平成14年度の合格率19.23%という数字ですが、試験センター側の出題ミスといった没問によって、一般教養(現在の一般知識)の足切り点において、救済措置がとられたために出てきた数字です。
一定の要件の下に、無試験で登録を認めることを所謂特認制度と呼びますが、特認制度については、国家試験制度の根本に関わる重要な問題です。
能力の担保が十分ではないことや、公平ではない、という批判は相次いで寄せられ、司法制度の改革が進行する中、業務拡大を望む行政書士としては、能力の担保を設定するためにも特認制度の廃止、あるいは科目免除制への移行を求める声も少なからず上がっています。ここで、試験申し込み者の変化を具体的に見ていきましょう。
平成11年度までは4万人程度で安定した数字でしたが、「カバチタレ!」の影響で、受験者は倍以上の9万人程度まで増加しています。
週刊モーニングで同作品が連載をスタートしたのが平成11年5月のことで、翌年には申し込み者が約1万人増加していることになります。更にドラマ版「カバチタレ!」の放送は平成13年1月?3月にかけてですが、同年には申し込み者が約2万人増えています。
こうした数字からも、「カバチタレ!」の影響がいかに大きいかがわかります。


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